日本には化けネコという妖怪がいるのは多くの人が知っていますが、化けガニというのもいるそうです。ギリシャ神話にも化けガニが登場して、12星座の一つにもなるくらいですので、巨大なカニというのは、人類に共通して心に響くものがあるのではないでしょうか。
各地の寺院などには、どこも似たような化け蟹の話が伝わっているそうです。
化け蟹のお話を紹介します。
ある村では、住職が次々に行方不明になって廃寺になってしまった寺があり、困っていたそうです。そのうわさを聞きつけた高僧が解決にのりだしました。次々にいなくなる住職の謎を解こうと、高僧は寺に泊まりました。すると真夜中に怪しげな旅の修行僧が現れ、なぞなぞを出しました。
「両足八足、横行自在にして眼、天を差す時如何」高僧は即座に「カニだ!」と答え、正体を見破られて逃げる男に独鈷杵を投げて追い返しました。
次の日、巨大な甲羅を持ったカニの死骸がみつかり、これまでこつぜんと消えた歴代の住職はどうやらこの妖怪に食べられていたことがわかりました。見事に問題を解決した高僧はそのままその寺の住職となりました。
同じなぞなぞがでてくることから、狂言『蟹山伏(かにやまぶし)』がルーツではないかといわれています。