1988年にアメリカで、1999年にはフランスで日本のイソガニが繁殖しているのが発見され、その後も北米大西洋岸や北海沿岸に分布を広げていることが判明しました。船舶のバラスト水にカニの幼生が混入して、寄港先にの海に放出された結果であると考えられています。
チチュウカイミドリガニというヨーロッパ原産のカニは、1984年に東京湾で発見され、1990年代以降は日本各地に分布が拡大し定着していることがわかり、国内の外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)の要注意外来生物リストに指定されています。
貨物船は、積荷を満載した状態で安定航行できるように設計されているため、バラスト水を入れないまま空荷で航行すると支障があるためこれまでに大量の海水が世界中に運ばれていました。
バラスト水による海水中の生物の移動を防止するための有効な策がまだないまま、カニだけでなくヒトデやワカメ、コレラ菌などが海水といっしょに移動しており、生態系の変化だけではなく、現実に漁業被害や健康被害も出ています。
2004年には、バラスト水の規制に関する取り決めについて国際的な場で話し合いが行なわれましたが、まだ解決していません。